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2015/10/16

司法アクセス学会第9回学術大会

Tweet ThisSend to Facebook | by:小林学

司法アクセス学会第9回学術大会


「司法アクセスの担い手とその養成


.第9回学術大会の実施要領

(1)日・時:2015125()午後1時00分~530

  (2)会場:弁護士会館2階「クレオ」(東京都千代田区霞が関1-1-3
   (3)
ねらい: 2015630にまとめられた法曹養成制度推進会議による『法曹養成制度の更なる推進について』と題する決定は,「法曹ないし法曹有資格者の活動領域の拡大や司法アクセスの容易化等に必要な取組を進め,より多くの有為な人材が法曹を志望し,多くの質の高い法曹が,…司法制度改革の理念に沿って社会の様々な分野で活躍する状況になることを目指すべきである」とする.そして法曹人口(現行程度,最低でも1500人以上)や法科大学院の改革など,法曹養成の根幹に関わる争点について包括的に言及する.その最後では「…グローバル化の進展,超高齢社会,個人や企業の経済社会活動の多様化・複雑化等の社会的状況等を踏まえ,…法曹養成制度の充実を図る抜本的な方策を検討し,必要な方策を講じる」としている.

 法曹養成制度推進会議が正しく指摘するように,わが国ではグローバル化の進展と少子高齢化が進行し,介護保険の充実・維持や成年後見をめぐる問題が大きな課題となっている.他面で,国家財政の逼迫のしわ寄せとして社会福祉予算の抑制が叫ばれ,生活保護受給の要件審査は厳しさを増している.このような状況の中,司法アクセスに関して,年金・介護保険・福祉等のアドヴァイスは高齢者の日常の法的ニーズとなっている.さらに振込め詐欺等の高齢者の犯罪被害リスクが増大し,その予防や救済へのアドヴァイス,より広く,自分では法的問題の予防も対応も困難な人々への「手の差し延べ(アウトリーチ)」が喫緊の社会的課題となっている(このアウトリーチのシステムとして「司法ソーシャルワーク」を挙げることができる).

 日本社会の変化は加速度的である.マイナンバー制の導入をはじめとする行政のIT化,電子政府やオープン・ガヴァメントの構想が進んでいる.私生活でもネット取引は日常の消費生活の主流となっている.これらIT化の進展は生活の利便性を高めた反面,事故・紛争・犯罪のリスクを急増させた.人・もの・資金の国際的流動化が進展し,私人も中小企業も日常的に国際取引に直接・間接に関与している.日本社会の国際化は生活の質を向上させた反面,事故・紛争・犯罪リスクの国際化をももたらし,国際的民事司法・刑事司法のニーズを高めている.金融取引をはじめ企業取引の複雑化・多様化が進み,また,贈収賄の国際的な規制強化をはじめ各種規制強化も進み,企業のコンプライアンス,ガバナンス,コンサルテーションへの法律家の関与がこれまで以上に求められている.

 このように,日本社会は「グローバル化の進展,超高齢社会,個人や企業の経済社会活動の多様化・複雑化等の社会的状況」の中で新たな社会問題,急展開する社会問題,複雑多様化する社会問題からの挑戦に直面しており,弁護士,司法書士,行政書士などの「司法アクセスの担い手」にはこれらの社会問題についての発掘(アウトリーチ)・対処・解決におけるリーダーシップが求められている.まさに「エヴィデンス・ベース(evidence-based)」に考えることのできる「プロブレム・ソルバー(problem solver)」としての「司法アクセスの担い手」が求められている.これまでの養成システムで育った既存の「担い手」たちは,どこまで日本社会からの新たな挑戦に応えることができるのか?既存の養成システムの良さはどこにあり,新たな挑戦に応える人材育成には何が足りないのか?本シンポジウムでは,日本社会の新たな挑戦に応える能力と意欲のある人材の在るべき姿と,そのための養成システムについて考えて行きたい.


 2.大会プログラム

(1)【開会の辞】小島武司・司法アクセス学会会長 1:00 p.m. 

(2)【基調報告】

   ○1:10 p.m.~2:10 p.m.

        福井 秀夫 氏(政策研究大学院大学教授)

    「司法救済と専門家の役割―資格制度の限界を踏まえて―」

     ○2:10 p.m.~2:30 p.m.      

       質疑・意見交換

(3)  休 憩  2:30 p.m.~3:00 p.m.  

(4)パネル・ディスカッション】
     テーマ:司法アクセスの担い手とその養成
   ○3:00 p.m.~4:30 .m. 
   《パネリスト》
    ●
久保利 英明 氏(弁護士、桐蔭法科大学院教授)

             山本 一宏 氏(司法書士[日本司法書士会連合会理事])

           伊藤 浩 氏(行政書士[日本行政書士会連合会専務理事])

         4:30 p.m.~5:30 p.m.     

       質疑・意見交換

(5)【閉会の辞】   5:30p.m.

      

     ※ 大会終了後、懇親会を予定しています (費用3,000円)。

 

(参加申込受付)

 懇親会ご参加の有無とともに、下記事務局宛にお申込みください。

  【司法アクセス学会事務局】

       桐蔭法科大学院    小 林  学 研究室

       〒225-8503 横浜市青葉区鉄町1614番地

                           Tel & Fax: 045-974-5734

               e-mail: manabu@toin.ac.jp


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