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2013/05/10

司法アクセス学会第1回学術大会(2007年度)

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2007年12月8日、弁護士会館クレオにおいて、司法アクセス学会第1回学術大会が開催された。会員・非会員併せて138名の参加者があった。

午後1時 開会

  1. 講 演(1:15 pm.)
      ■「外から見た日本法制の改革:司法へのアクセスは本当に向上するか」
      ダニエル・H・フット(東京大学教授)
       最初に、「外から見た日本法制の改革:司法へのアクセスは本当に向上するか」と題して、ダニエル・フット東京大学法学部教授より個別報告が行われた。日本における法曹人口が年間3000人の増加で足りるのかという点については、外国との比較、医師との比較、需要の観点から報告がなされ、また、新しく弁護士となる者が「就職難」にあっている状況をどのように受け止めるべきかという点について意見が述べられた。さらに、法科大学院・新司法試験について、法律解釈ばかりの新司法試験がもたらす影響や、法科大学院における「理論と実務を架橋する教育」における「理論」と「実務」とは何なのかという点について分析がなされ、視野が広く国際競争力のある法曹を法科大学院は養成できるかという点について検討が行われた。その他、弁護士過疎地域(ゼロ・ワン地域)の問題、現代日本のADR(裁判外紛争処理制度)に関する考察、公益通報者(内部通報者)の増加と社会の法化と司法アクセス、民事裁判利用者行動調査の結果と司法アクセスの問題なども取り上げられた。

      ■「法律問題と司法へのアクセス」
      村山 眞維(明治大学教授)
       つぎに、「法律問題と司法へのアクセス」と題して、村山眞維明治大学教授より個別報告が行われた。民事紛争全国調査の概要について説明がなされ、問題経験の分布状況から、問題行動に影響する諸要因、比較法的検討、類型の抽出、社会的経済的要因などについての分析が行われた。その上で、相手方との接触と紛争発生状況、相談のパターン、弁護士への依頼の現状、裁判処理用の現状について分析が行われた。

  2. 総 会(2:30pm)
     総会においては、2006年度会計報告および監査報告のほか、研究会の開催準備等の学会活動に関する諸報告が行われ、最後に小島会長より、会員の増加を図り学会の発展に向けて努力したい旨報告がなされた。

  3. シンポジウム(3:00 pm.~5:30 pm.)
    テーマ 『法テラスの挑戦―1年間の実践の検証から』
    ・ 基調報告  寺井 一弘(日本司法支援センター常務理事)
       ・ パネル・ディスカッション
         寺井 一弘(日本司法支援センター常務理事)
         我妻  学(首都大学東京教授)
         早野木の美(関東学院大学非常勤講師)
         池永 知樹(弁護士) 
         (コーディネーター)
         池田 辰夫(大阪大学教授・弁護士)

    最後のセッションである シンポジウム「法テラスの挑戦―1年間の実践の検証から」が、池田辰夫会員の司会の下、行われた。

    (シンポジウムの狙い)
     日本司法支援センターは,2006年(平成18年)4月10日に設立され、同年10月2日から業務を開始した。法で社会を明るく,陽当たりの良いテラスのようになどの思いから名付けられた愛称「法テラス」が,船出して一年が経過する。財団法人法律扶助協会がこれまで担ってきた民事法律扶助事業も、2006年(平成18年)10月2日から法テラスに引き継がれている。こうした時期に当たり,法テラスの1年間を振り返って,その業務の実際を確認し,これを検証・分析し,課題を抽出したうえで,これからの国民の負託に応える法テラスの在り方を諸外国の動向をも参照しつつ展望を描いていきたい。

    (パネル・ディスカッションの概要)
     議論に際しては,法テラスの現状を踏まえた,その分析と課題,そして克服の方向性,未来像の論議が期待される。とりわけ,法テラスの使命の原点とは何か,ハンディキャップを負う人々(高齢者・障がい者・子ども・ワーキングプア・犯罪被害者・外国人等)への対応をどうするかなどについて,世界の座標軸の中の日本の位置づけを押さえつつ,アジアにおける日本の役割を踏まえた議論などもできればと願っている。さまざまな法律相談機関等との役割分担や評価委員会の評価基準なども取り上げられる。司法アクセスの質量をともに充実させ、法の支配を普遍化していくために、その現状の把握と課題を見定め、当面の夢を描ききる。
     まず、日本司法支援センター常務理事・寺井一弘会員から「法テラスの1年―事業と課題」と題する基調報告が行われ、法テラスの目的・事業内容・事業組織、民事法律扶助事業、情報提供のあり方、犯罪被害者援助、国選弁護関連業務、受託業務、今後の課題等について報告が行われた。
     次に各パネリストによる報告が行われた。
     関東学院大学非常勤講師・早野木の美会員からは「暮らしのトラブルの多様化と複雑化―私たちが向き合う日常から」と題して、消費生活相談の現状を分析し、そこから見えてくる課題を指摘し、機関の役割の明確化、法教育の推進、消費生活相談と法テラスの連携、相談員のスキルアップ等を提言する報告が行われた。
     弁護士・池永知樹会員からは、「世界の法律扶助―ベルギー会議報告を兼ねて」と題して、ベルギーで開催された国際会議の概要、各国のリーガルエイドの状況分析、世界の法律扶助のトレンドを踏まえたうえでの日本の法律扶助の課題について報告がなされた。
     首都大学東京法科大学院教授・我妻学会員からは、「司法へのアクセスと法テラス」と題して、民事法律扶助の歴史について、イギリス、アメリカ、日本を比較し、法テラスの概要を述べた上でその活動の評価を行い、今後の課題を指摘する報告がなされた。
     司会の池田会員の総括が行われ、直ちに質疑応答に入り、フロアからの発言も含め、熱のこもった議論が繰り広げられた。

 学術大会終了後、弁護士会館地階にて懇親会が開かれ、参加者の親睦が図られた。
10:30